「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」が262ページもあり、分からない人には全然分からないので、解説するシリーズ、第7弾スウェーデン編であります。
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過去回はこちらからご覧ください。↓
→文部科学省が調査した海外のプログラミング教育に関するレポートが長くて難解なので、分かりやすく解説して見ます。(英国編)
→【海外事情第二弾】1991年に独立したエストニアはスカイプを生んだ国!教育も進んでます!
→【海外事情第3弾】フランスのプログラミング教育についてまとめてみました。
→【海外事情第4弾】ドイツのプログラミング教育の現状はなんだか日本の現在と似ていました
→【海外事情第5弾】教育で世界トップのフィンランドでは、プログラミング教育をどう捉えているのか?!
→【海外事情第6弾】イタリアでも推進中のプログラミング教育!
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さて、今回登場するお国は「スウェーデン」です。スウェーデンと言えば神秘的なオーロラや、発酵させた魚のニシンを缶詰に閉じ込めた、とても匂いが強い食品の「スールストローミン」がありますね(バラエティ番組でたびたび見かけます…)。
とても自然が豊かなイメージがありますが、企業でみると、高級車のボルボもスウェーデン車だそうです!ファッションの分野で言えばH&Mもスウェーデンらしいですね!
さらに世界最大の家具量販店イケア(IKEA)!
後者の二つは低価格、デザイン性の良さ、で世界的に進出している企業ですね。
また、2018年は1868年に日本とスウェーデンの間で、外交関係が樹立してから150周年の年でもあります。
主要産業に機械、化学工業、林業やITを含む、北欧の科学技術立国スウェーデンは、どのようなプログラミング教育をしているのでしょうか。
早速見ていきましょう!
上図より、スウェーデンでは基礎学校というのが9年間あります。
日本でいうところの小学校と中学校を足した感じの学校のようですね。
そこからさらに上級中学校というものがあり、高等教育を大学で受けます。
「プログラミング教育」は16歳から18歳のころに職業訓練コースに「Programming」があり、そこで受けられるようです。
では、義務教育期間(基礎学校9年間)ではどのような教育を行っているのでしょうか。
他の教科の学習用ツールとして、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術のことで、例としてパソコンやパワーポイントなどがあります)は教えられていますが、プログラミング教育は導入されていないそうです。
プログラミングよりもICT教育という事ですね。
調査結果によると、スウェーデンでは1970年代の初めから学校でコンピュータが使用されるようになったそうですが、当時はごく少数の学校に限られていたそうです。
話は少しそれますが、日本ではこの時代に「スペースインベーダー」が大ブームとなったり、日本初の家庭用ゲーム機「テレビテニス」が発売されていました。
「図解入門業界研究最新IT」によると、日本の学校教育にパソコンが導入され初めたのは、これより10年後の1980年代になるそうです。
スウェーデン政府は1980年代初めからIT政策を推進し、同時に学校におけるICTを活用した教育にも力を入れてきました。
また、1980年代の中ごろから、学校にコンピュータを導入しようという多くのキャンペーンが始まり、国家予算も投入されたそうです。
導入の目的としては、ICTのような最新テクノロジーを学習ツールとして活用することで、生徒の学習能力とICTリテラシーを高めること、とありました。
国が率先して最新技術を取り入れ、子供たちに学ばせようとする姿勢は、子供の将来の選択肢も増えることもあり、素晴らしい事と感じます。
時代の流れとして、当初はコンピュータという「ハード面」での最新技術を、子供たちに幼いころから学ばせるようとしていましたが、最近ではコンピュータがある世界が充実してきたということで、ICT教育という「ソフト面」を学習ツールとして活用することにより、子供たちの学習能力を高めようとするという感じでしょうか。
では、「ソフト面」であるICT教育が始まったのはスウェーデンではいつごろからになるのでしょう。
調査結果によると、前保守政権当時の2011年10月に公布された「みんなのためのICT」を政府の方針として位置付けているそうです。民主主義において、性別、階級、民族性、地域にかかわらず、すべての生徒が学校でICTに親しみ、ICT知識を得られる権利を保障している、という事でした。ICTについては国を挙げて取り組んでいるようです。
「スウェーデン新教育法2011」のもとに教育庁による学校改革制度があり、「高等学校2011」というカリキュラムが作成され、上級中等学校の職業訓練専門コースに、プログラミング教育が導入されたそうです。
スウェーデンでは義務教育9年間(7~15歳)でコンピュータなどのICTに触れ、そこから上級中等教育の3年間で、大学進学準備コースと職業訓練専門コースに分かれ、職業専門訓練コースを選んだ学生が「Technology」の中で教科「Programming」の指導を受けるという流れです。
プログラミング教育は選択制なのですね。(大学進学準備コースの中にプログラミング教育は始動されていないようです)。
ちなみに、スウェーデンでは公立学校が無料だそうです!
学校予算は全面的に国家が負担するそうです。金銭面を気にせずに学べる機会があるのは素晴らしい事ですね。代わりに税金が大変そうです(余談ですがスウェーデンの消費税は25%らしいです。)
気になったので2014年のスウェーデン中央政府の一般会計の歳出、歳入予算を調べてみました。(財務省より)
教育・大学研究予算額を見ると全体の7%ということです。
日本の文教及び科学振興が全体の5.5%ですので(平成28年度一般会計予算より)、日本より多くの予算の割合を教育に注いでいることになりますね(対比する年度は違いますが)。
話は戻りまして、やはりスウェーデンではプログラミング教育よりもICTリテラシー(ある事に対して理解して改めて示せる事)に重きを置いているようですね!
義務教育のカリキュラムではICT導入の目的は、調査結果によると
「義務教育のすべての生徒に対し、知識の習得、コミュニケーション、クリエーション、学習のためのツールとしての最新テクノロジーを提供するため」
と定義づけているそうです。スウェーデン政府ではどうやらICTリテラシーは、読み、書き、計算に次ぐ、4番目の基本スキルである、としているようです。
時代の流れを把握し、適切なものを教育に反映させることは子供たちの可能性の幅を広げる、とても素晴らしい事ですね。
スウェーデン政府も重視しているICTリテラシー。
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次回の海外事情は「ハンガリー」です!インテル社の元社長アンドルー・グローブさんや、Ustreamの創設者の一人が出身国だったりするわけですが、いったいどのようなプログラミング教育をしているのでしょうか!
次回もお楽しみに!