今回はイタリアのプログラミング教育についてまとめました。

過去の海外事情はこちら!
・文部科学省が調査した海外のプログラミング教育に関するレポートが長くて難解なので、分かりやすく解説して見ます。(英国編)
【海外事情第2弾】1991年に独立したエストニアはスカイプを生んだ国!教育も進んでます!
【海外事情第3弾】フランスのプログラミング教育についてまとめてみました。
【海外事情第4弾】ドイツのプログラミング教育の現状はなんだか日本の現在と似ていました
【海外事情第5弾】教育で世界トップのフィンランドでは、プログラミング教育をどう捉えているのか?!

 

コンピュータサイエンスの基本的な概念を理解することは、これからの世代が生きていく上で不可欠である、という考えがイタリアでプログラミング教育が導入された背景です。

 

イタリアの後期中等教育は教科や専攻の種別によってに高等学校、技術高校、職業訓練高校に分けられ、さらに高等学校は普通高校、外語高校、科学高校と分けられます。

ちょっとした小話ですが、イタリアの高校は5年生で一部の学校以外は入試が実施されていないそうです!
その分卒業するのがとても大変だそうですが…
日本と大きく違いますね。

 

普通高校及び科学高校では、1~2年生の数学の授業の一環として「Informatica」が教えられています。

日本では独立した情報の科目があるので、数学の一環として教えられているのは驚きですね。確かに二進数の計算などは「自分すごく数学やってる!」といった気分になりますが…!

 

科学高校の Applied Science(応用科学) コースと技術高校では、1~5 年生の間に独立教科として「Informatica」があります。

教科「Informatica」の授業が行われている後期中等教育の学校では、1 年生でコンピュータの構造と構成、オペレーティングシステム(OS)の仕組みと機能、アルゴリズムとその表現、プログラミングの基礎と指定言語による簡単なプログラム開発を行います。

学年が上がるに従い徐々にその内容は詳しくなり、情報システム、データベース、ネットワーク、Web、セキュリティなど広範な分野がカバーされています。使用言語は SQL、C、HTML、PHP となっています。学校での指導時間は週2時間ほどで、技術高校でビジネス情報システムを専攻している学生は週に4~5時間と多くなっています。

 

専門的な学校でなければ詳しくプログラミングを学んでいるわけではないようです。日本と同じような感じですね。

 

初等教育と中等教育向けに導入推進されている「Programma il Futuro」は2014年9月から教育省と大学研究機関が協力して任意参加のプロジェクトとして開始しました。このプロジェクトはコンピュテーショナルシンキングを身につけることを目的にしています。

(コンピュテーショナルシンキングとは、問題をコンピュータが解決できるようにするための考え方や知識のことです。)

何が問題なのかを考える力…素晴らしいとは思いませんか?

 

参加については学校や教師の任意ではありますが、プロジェクト開始から3か月余りで全国の公立小学校の一割強が参加し、2017年のプロジェクト終了までに更に参加校が増えると予想しているようです。

 

教育省がProgramma il Futuroの導入を推進している理由を抜粋しました。

「今日コンピュータはどこにでもあり、人々を助ける強力なツールとなっている。学生が成長したら就きたいと思うあらゆる仕事に備えるために、コンピュータサイエンスの基本的な概念を理解しておくことは不可欠である。

情報技術、すなわちコンピュテーショナルシンキングは、論理的思考スキル、創造的・効率的問題解決能力といった将来の市民(人材)に重要な資質を発達させるものである。コンピュテーショナルシンキングを発達させる最も簡単で楽しい方法は、ゲームなどのプログラミング(コーディング)を通じて学ぶものである。

基本的なデジタルリテラシーを超えるコンピュテーショナルシンキングを適切に教育することは、未来社会に対峙する新しい世代にとって、技術やサービスに無関心で受動的な消費者となるのではなく、あらゆる問題に気づき、開発に積極的に参加する人間となるために、必須である」

 

大雑把にまとめると、情報技術は今の子ども達に必須のものなので楽しく学ばせよう!ということが述べられています。この辺りは、どの国でも同じなのですね。

 

Programma il Futuroは2つのプロジェクトから構成されています。

  • ベーシックモード

児童・生徒にコンピュテーショナルシンキングを始めさせる最初の一歩で、ブロックを組み合わせて作るプログラミングの学習環境に慣れ、シーケンスを理解しプログラミング言語の基本概念を知ること

  • 入門コース

ベーシックモードに続きコンピュテーショナルシンキングのテーマを発展させることが目標で、条件分岐や関数、エラーの特定・修正などを学習する

 


こちらの動画(たぶんイタリア語です)ではCODE STUDIO(https://studio.code.org/)というサイトで学習しているようです。プログラミングの方法というより考え方を教えているのですね。

 

また最終的な目標は

■問題解決の手法となるコンピュテーショナルシンキングを身につける。

  •  データの分析、構築、表現
  •  問題解決のための課題の明確化
  •  課題の整理、解決手段の決定、その形式化
  •  代替手法の検討

どのような職業についてもコンピュテーショナルシンキングを学ぶことは必要であり、その基本的なコンセプトの知識は、問題解決力や想像力を発達させる

と書かれていました。

基礎の力を付ける学習という気がしますね。
応用は生徒それぞれが好きな分野で発揮させていくのでしょう、そういった学習方法はとても素晴らしいと思います。

 

今までの内容を大まかにまとめると、これからはコンピュテーショナルシンキングが切っても切れない考え方になっていくので小学生のころからプログラミングの概念を学びましょう、ということです。

 

こちらの動画(たぶんイタリア語です)を見ていただいてわかるように、インターネットの環境がなくてもプログラミングの概念を学習でき、さらにゲーム感覚で子供たちが楽しく学べるような工夫がされています。そういえば日本の英語教育もゲームを取り入れつつ楽しく学ぶように構成されていますね。興味を持ってもらうには「楽しい」と思ってもらうことが一番ではないでしょうか。

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