諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」が262ページもあり、分からない人には全然分からないので、解説するシリーズ、第5弾であります。

過去回はこちらからご覧ください。↓

・文部科学省が調査した海外のプログラミング教育に関するレポートが長くて難解なので、分かりやすく解説して見ます。(英国編)
【海外事情第二弾】1991年に独立したエストニアはスカイプを生んだ国!教育も進んでます!
【海外事情第3弾】フランスのプログラミング教育についてまとめてみました。
【海外事情第4弾】ドイツのプログラミング教育の現状はなんだか日本の現在と似ていました

 

さて、今回登場するお国は「フィンランド」です。フィンランドと聞いてパッと思いつくのは、

・携帯電話端末メーカーの「ノキア」

・スマホゲームのクラッシュ・オブ・クランやクラッシュ・ロワイヤルをリリースしている「スーパーセル」
でしょうか。2009年にiPhoneで配信され、最近テーマパーク化や映画化もされた「アングリーバード」を保有する「ロビオ・エンターテインメント」も、どうやらフィンランド産のようですね。

・(他にもムーミン、サンタクロース村、サウナ、アパレルブランドのマリメッコがありますが今回は割愛いたします)

このように現在でもロングヒットを飛ばしているIT企業が多いフィンランドですが、プログラミング教育に関してはどうでしょうか。

 

調査結果によると意外にも、2013年時点では義務教育の方針にプログラミングに関する内容は確認できない、とのことでした。

しかしフィンランドでは2016年からプログラミングを義務教育に含めることが決定しております。導入計画の名前は“koddi2016”と呼ばれ、ガイドブックにまとめられています。

 

このガイドブックによると、プログラミングは

・1~9年生の算数・数学のカリキュラムの一部として導入するよ
・1~2年生では、コンピュータに正確な支持を送ることが重要だという事を習得するために、遊びを通して他の学習者たちに明確な指示を与える練習をするよ
・3~6年では、Scratchなどのビジュアルプログラミングを使用するよ
・7~9年生では、マジのプログラミングを学び始めるよ

ということでした。フィンランドの教育課程はこのようになっているので、以下の図にまとまっています。

日本の教育課程で言うと、中学1年生~中学3年生あたりで本格的なプログラミングを行うようです。

フィンランドの1~2年生で行うカリキュラムが興味深いですね。

「コンピュータに正確な指示を送ることが重要だということを習得するために、遊びを通して他の学習者たちに明確な指示を与える練習をする」という事でしたが、幼いころから指示を出すことを経験する、という事はリーダーシップ(に達しないまでもそれに準じた)の習得に近い気がします。

フィンランドには起業家の祭典「スラッシュ」というものがあります。
欧州最大規模とされるこの祭典には多くの起業家や投資家が集いますが、幼いころから学習を通して様々なことを学んだ子供たちが成長した未来では様々なアイデアが飛び出し、この祭典もさらなる発展を遂げているかもしれませんね。

とてもワクワクします。

 

3~6年生ではScratchを学ぶそうです。
ここで登場したビジュアルプログラミングとは何でしょうか。調べてみました。
IT用語辞典さんによると、要約しますが、

「目で見て分かりやすくしたプログラムを画面上に配置し、アプリケーションの開発や保守がとても簡単に行えるプログラミング手法」

とされています。

 

私たちツクルの取り組みとして行っているプログラミング教室は、このスクラッチを使用し、小学生から高校生を対象にしたプログラミングの教室です。

フィンランドでも採用されている事からわかるように、スクラッチによるプログラミング学習はとても分かりやすく、入門編として最適の教材です。

 

私も実際にスクラッチでゲーム作りの体験をしましたが、実際に自分が組んだプログラムでキャラクターが動くさまや、ゲームを作るというのは想像以上の感動があります。

 

話は戻りまして、フィンランドでこういったITを導入するにあたった経緯として、意訳しますが、

「フィンランドではITが生活に深く関わってきたんだー。だからすべての子供たちにソフトウェアについて簡単な事から学ぶ機会を与えるよ~」

という感じです。なにやら日本と似ていますね。

 

調査結果をもう少し見ていくと、

「最近ではテクノロジーと生活は切っても切り離せなくて、コンピュータに関係する知識は、世界を正しく知るためにとても必要だよね。この知識を『特殊な技術』として見るのではなく、市民としてごく『一般的な知識』になっていくはずなんだ!だから、今のプログラマー育成に力を入れるってよりは、すべての人にチャンスを与えるっていうのが目的かな」

という感じです。

 

導入時期に関しては全ての学年に一斉に適用する、という感じではなく、2017年には1~7年生に。

2018年には1~8年生に、2019年には1~9年生に導入されるそうです。

段階的ですね。改善しながら進めていくのでしょう。

 

導入の目的として、2014年当時、教育通信大臣だったキウル氏によると、

「子供たちが将来、自ら電子サービスを考案したり構築できたりするようにすることで、デジタル社会を発展させる」

との狙いがあるそうです。

 

前述した通り、欧州最大の起業家の祭典があるフィンランド。さらにデジタル社会を発展させるために導入されたプログラミング教育。環境が揃っていますね。

日本のプログラミング教育の義務化は2020年。4年の差はとても大きいものと思います。その間私たちに何が出来るのでしょうか、考えさせられる結果となりました。

今回はフィンランドを紹介させていただきました!

次回のプログラミング海外事情第6弾は、「イタリア」になります!お楽しみに!

カテゴリー: BLOGNEWS