実はゲームセンターというイベントを行っています。
子供たちが作ったゲームをズラリと並べて、一般の方々にプレイしてもらうという企画です。
すこし工夫しているのは、面白かったゲームにシールを貼ってもらっているところにあります。
入場者は、受付時に入場料100円を払ってシールを10枚もらいます。
そのシールを面白いと思ったゲームに貼ってもらって、人気投票しているわけです。
ゲームは、講師陣も作ります。
子供の作品と大人の作品が同じように並ぶわけですが、誰がどの作品を作ったかは明記されません。
ですので、投票には「子供だからすごい!」みたいな見方がないわけです。
これをやろうと思ったきっかけは、純粋に子供たちの作るゲームがすごいと思ったからでした。
「すごいねー!」
といっても
「全然だよ」
と返される事が多くて、なんかとてももったいないんですよね。
そこで
「君たちには価値がある!」
という話をしていたんですけど、まぁ、あまり響いていない。これはメッセージの飛ばし方を変えないとな、何がいいかな、と考えた結果、
「100円稼ごう!」
というメッセージに変えました。
100円というと、小学生にとっては響きのいい金額です。
そして価値としても、届きそうで届かなさそうで届きそうな、「辛そうで辛くない少し辛いラー油」みたいな感じ。
100円を現金で稼ぐべきか、相応のお菓子とか何かで還元すべきなのかは、あまり深く考えずにそうメッセージしてました。
これがちょっとエライ事になるのですが。
100円という響きは、狙い通り、子どもたちに届きました。
ただ稼ぐという意識はなく(当然ですが)、100円あったらいいな、という感じ。
要するに100円だけが響いてしまって、価値がある、という的は外してしまいました。
どうやったら、子どもたちが作った作品の凄さを、作った本人が気が付いてくれるだろうかを考えた結果、ゲームセンターとなったのです。
ゲームセンターは、2017年も行いました。
この時、結構な入場者がいて、大人が子供の作品と知らずに作品に熱中していたのです。
作ったゲームを、全然知らない人がプレイして楽しんでいるという事が分かれば、子どもたちは嬉しいはず。
もし、楽しんでいないという結果になったとしても、
「どうやったらもっといいゲームに出来るだろうか」
と考えるきっかけになります。
リスクとしては、ショックを受けてプログラミングを嫌いになる子がいるかもしれない、という事。
考えに考え抜きましたが、リスクがあったとしてもやろう!と決めました。
多くが喜びに変わるだろうし、凹んだとしたら講師がそこから学ぶ事があり、支える事でより強い取り組みになるだろうと思ったからです。
ゲームセンターは、2017年と同じように沖縄女子短期大学の学園祭で行いました。
たった1日だけのイベントです。
迎えた当日。
ゲームセンターは、鈍いスタートとなりました。
なかなかお客さんは来ず、時間が長く感じられます。
やきもきして待っていると、知人がちらほらやってきました。
生徒たちも来ました。
みんな、投票の様子を知りたそうにしていましたが、知人からの投票しかなく、どうなるか不安げ。
そもそも、お客さんは来ないのでは…
しかし、知人や生徒たちが来てくれたことで、流れが出来たのか、ちらほら入ってきました。
多くの人が、長く滞在してくれて、楽しんでいるようでした。
それだけでも嬉しいのですが、みんなきちんと投票してくれています。
小学生からご年配まで、さまざまなお客様です。
結果、83人の方が来てくれました。
つまり8300円の売上です。
一番投票数の少ない作品で、10票。
多い作品は、68票でした。
1票には10円の価値がありますので、出品した全ての子が100円を稼いだことになります。
この結果は、それぞれにきちんとお伝えしました。
そして売り上げの全ては、子どもたちに還元する事も伝えました。
残酷かなと思ったのですが、得票もそのまま伝えました。
どこかぼかしてしまうと、せっかくの機会に学ぶ事が出来なくなると熟考した結果です。
彼らの反応は、価値があるという事を認識したうえで、すぐに「もっと良くしたい」という欲求に変わっていました。
一人として、ショックを受けて辞めるという反応をした子はいませんでした。
そして我々の学びは、プログラミングを教えるという事ではないんだとハッキリとした輪郭で捉える事が出来た事です。
プログラミングは、粘土や木材のようなものです。手段と言い換えてもいい。
何を創るか、何の作るのか、誰の為に造るのか、その結果は相手を喜ばせるものだったのか。
これを伝えつつ、一緒に考える取り組みが我々の取り組みです。
プログラミングだけでなく、大人の用語でいえば、デザインやUI/UXやマーケティングも教える事になるかもしれません。
バリューチェーンやブルーオーシャン戦略までいくかもしれません。
難しいしまだ早いという声もありそうですが、自分の作品で誰かを喜ばせる事が出来ると知った子供たちが求めるなら、僕らも一緒に考えて作っていきたいと思います。
次回のゲームセンターはまだ未定ですが、よりよい作品が並ぶ事でしょう。
ぜひ、みなさんのご来場を楽しみしています。