ツクルでは現在、スクラッチでプログラミングを教えています。
どちらかというと、プログラミングをベースにスクラッチで以下のような事を身に付けられるように意識的に取り組んでいます。
1.パソコンに慣れる事
2.未知のモノに触れる事を恐れない事
3.出来ると自信を持つ事
4.考える事
5.発言する事
6.失敗したり成功したりする事
7.楽しむ事
8.オトナを脅かす事
その集大成が作品ですが、作品を作る事を目的にしているわけではありませんし、発表することを目的にしているわけでもありません。
なんというかパソコンとかプログラミングとか、そういうコトがここ最近、エラソーにしていると感じるんですが、僕は、全然エラくないと思っています。
だって、これから先、こういうコトは当たり前になっていかないといけない時代になるので、エラソーにされるとなかなかそちらに行けないと思うんです。
絵を描くとか、鬼ごっこをするとか、掛け算九九とか、1192作ろう鎌倉幕府とか、そういう感じだと思うんです。めっちゃ分かりづらくてすいません。汗。
つまり、子供たちがプログラミングで遊んでくれればいいんです。
トランプでババ抜きしてた子が、手品にハマったりする事がありますが、スクラッチでプログラミングしてた子が、アプリ開発にハマるかもしれないし、キャラクターを描く事にハマるかもしれないし、タイピングにハマるかもしれないし、やっぱり全然ハマらなくて、プレイする方で楽しむかもしれません。
それでいいと思うんです。
それでいいと思うんですけど、上にあげた8つの事は、なんとなく身に付けておいた方が、もっと楽しいんです。僕の実体験からも。
ひとつひとつを解説してみます。
1.パソコンに慣れる事
スマホもパソコンですし、話題のAmazon echoもパソコンですし、もういたるところコンピューターだらけです。この世の中で避けて通るのは、だんだん難しくなってきているので、どうせなら、早いうちに慣れた方がいいです。
コドモにパソコンを使わせるのは、危険という声もありますが、僕は火が危険なら、火に慣れさせる事を幼いうちからやっておくのがいいと思う派です。
2.未知のモノに触れる事を恐れない事
プログラミングって未知の世界ですよね。
まずアルファベットと記号と数字で書かれている点で、理解不能です。
理解できないものは、みんな怖いんです。犬も猫も理解できないものは怖い。
動物の本能的作用であり、恥ずかしい事ではありません。
でも、恐れる必要がない未知のモノを必要以上に避ける事は損です。
損なんです。損してしまうんです。
知っている世界には、知っている分の価値しかなく、多くの人がそのことを知っていれば、一人当たりの取り分は、少なくなります。
多くの人が知らない世界にある価値は、見つけた人が多くを得られるので、得です。
残念ながら、プログラミング自体はもうそれほど知られていない価値ではありません。
ただ、プログラミングを使って出来る事は、次々と発見されていて、
「知らない世界がまだまだあったんだ!」
という感じで、連日ニュースを賑わせています。
子どもたちにそういう価値を発見してほしい、というより、
「面白そうだから行ってみようぜ!」
という感じで、未知の世界を除いてほしいんですよね。
そしてそういう姿勢が当たり前になって欲しいと思っています。
実際、スクールに来ている子たちに無限の可能性を感じるのは、そういう姿勢があるからだと思うんです。
僕なら作ろうと思わないゲームに取り組んで、それっぽいものを作るんですからねぇ。
3.出来ると自信を持つ事
タイピングを教えるときは、3段階で目標を持たせています。
まずはホームポジションに慣れる事。
次はキーの場所を覚える事。
そして文字を打つ事。
ホームポジションに慣れた子に、キーの場所を覚えるように目標を再設定すると、どの子も最初は
「ムリー!」
っていいます。
僕らスタッフは
「絶対できる!」
って言い返します。
少しでも伸びたら、褒めます。
そうすると、本当に出来るようになるんです。
最初は、意識して褒めてあげようと思っていたスタッフも、無意識に本気で感心したりします。
その時の子供たちのニヤリとした顔!
「ドヤ!」っていう顔!
その顔を見ると、出来るって信じられるようになってきたかなと感じられるんです。
褒めるって大事です!
4.考える事
プログラミングがいいのは、考えないと作る事が出来ない点だと思います。
例えば、勇者とドラゴンが衝突したらゲームオーバーにしよう!と思ったとしても、パソコンにそれを伝えるには、簡単ではありません。
誰が、どんなときに、どうなるっていう事をちゃんと明確にして、命令しないと動きません。
自分が分かっていると思っていたことを、パソコンに伝えようとすると、ちゃんと分かっていなかったことが分かります。
そこで考える作業が必要になります。
人に教えるのが一番勉強になるといいますが、パソコンに命令するというアウトプットは、この作業に近い気がします。
きちんと動いたときに、自分でも「そういう事か!」と分かるようになるので、考える力を養うのにプログラミングは、とても都合がいいです。
5.発言する事
ツクルのスクールは、静かではありません。
むしろうるさいです。
子どもたちが好き勝手に、発言しているからです。
先生を捕まえる為に、大声を出したり、手を握って話さなかったり、子どもたちなりに工夫して、オトナを引き留めます。
おとなしかった子も、雰囲気を感じ取って、だんだん積極的に話すようになります。
話すのは、プログラミングに関してだけではなく、学校であった話とか今ハマっているゲームとか、そいう話に散らかる事もしょっちゅうですが、発言を恐れないで欲しいので、良しとしています。
彼らの事が分からないと、僕らもどう向き合っていいか分からないので。
オトナになってから時々ありますが、
「あの時、ああいえば・・・」
と、後悔し遠回りしてしまうのは、もったいないです。
恥をかいてもいいから発言するコト。
時々、子どもたちもやりすぎて、僕らは叱りますがそれも学んでほしいと思っています。
6.失敗したり成功したりする事
失敗したり成功したりする遊びなんです。
失敗や成功は、まともにやったら大変じゃないですか。
小さな失敗や成功を繰り返してもらいたいし、それ自体を楽しんでほしいので、どんどんチャレンジさせます。
僕たちスタッフも、一人一人は違うので、いろいろな向き合い方を試みています。
子どもたちを上手く誘導出来ない事も、正直いってありますし、子どもたちが行いたいプログラムが割と難解で、一緒に考えこむこともあります。スタッフとしては褒められたものじゃないかも知れません。
でも、僕たちも成功したり失敗したりしながら、もっと大きくなりたいと思っていますから、僕たちが子供たちを恐れたり、自分たちの知見の内側に閉じ込めたりしないよう、チャレンジしなければならないと思っています。
その姿勢が子どもたちにも伝わってくれれば、こんなに嬉しい事はありません。
7.楽しむ事
プログラミングもパソコンも、アレルギーになりやすいらしいです。
算数も英語もアレルギーになりやすいようです。
どうして苦手意識を持つかと考えてみると、恥をかくのが嫌だからではないしょうか。
子どもたちがテレビゲームをプレイしているのをみると、全然上手くいかないステージに果敢に挑戦するんですよね。
何度もやっているうちに出来るようになります。
この違いは楽しめるか楽しめないかだと思います。
何かを身に付ける際に、必要な感情は、「楽しむ」ではないでしょうか。
それも飽きずに。
明確な答えはまだ出ていなくて、研究し続けていきたいと思っていますが、一つ分かっている事は、
「楽しい」
と伝える事です。
「楽しい」「面白い」「すごい」というような言葉が、楽しい感情を誘発します。
子どもたちがいかに楽しく取り組むか。
義務や責任で取り組むのではなく、他の事よりも楽しくてしょうがないからこれに取り組むという体験をしてもらうように、取り組んでいます。
8.オトナを脅かす事
これは大事な点だと思うのですが、子どもたちが僕たちを脅かさない限りは、僕たち以上の成長はしないかもしれません。
「こんなことも出来るの!?」
と、オトナが感心したときに、コドモは真の意味で自由になると思います。
家庭も社会も学校も、たいていはオトナが作っています。
コドモがコミュニティを作るのは、コドモ同士がほとんどです。
コドモが社会で自由に動き回る機会は多くありません。
ところが、プログラミングをしているコドモは、オトナから「すごい!」と言われやすい傾向にあります。
なぜなら、多くのオトナは、プログラミングを知らないからです。
これはチャンスです!
コドモがオトナに認められ、世界を創る事に参加出来るチャンスです。
オトナは、コドモに脅かされるように、自分を超えるように向き合う使命があるんじゃないないでしょうか。
僕たちは、コドモよりも早く死ぬんですから。