これは、ぜひ親子で考えて頂きたい事です。
僕が通った高校は、超のつく進学校でほぼ全員が大学へと進学しました。
僕も進学しましたが、1年で中退しました。
高校の時、同級生と違って僕はいまいち将来の目標が持てずにいました。
同級生は、医者になる、薬剤師になる、県庁職員になる、弁護士になるなど明確な人が多く、そうでなくても大学は○○など決めている人がほとんどでした。
このような、目標を持つ高校生がたくさんいる環境に身を置いていたのですが、僕は目標を持てずにいました。
結局、中途半端な進学をして中途半端な退学をしてしまい、後悔はしていませんが、ずいぶん遠回りをしたなぁと思っています。
今、僕は通信大学に通っています。
大学でモノを教える立場になってしまったので、せめて大卒くらいはと思い勉強をし直しています。
そんな僕が学歴は必要なのかを考えてみますと、「必要」という結論が出てしまいました。
この結論と同じ理由で、資格についても「必要」と思いました。
資格は、就職時に有効とされていますが、実のところそれだけでは有効ではありません。
エクセルの資格やイラストレーターというグラフィックソフトの資格をもっていたって、即戦力としてプロの仕事が出来るわけではありません。
いくら履歴書に資格が並べられていても、それで合否が決まるわけではないのです。
これは、多くの面接官経験者に訪ねても同じ結論でした。
混乱を招くようですが、同じ理由で学歴も有効ではありません。
超有名大学ならいざ知らず、大卒だからプロの仕事が出来るという訳ではないのです。
「そんなことは当たり前じゃないか!」
と言われるかもしれませんが、それならなぜ大学に行く必要があるのでしょう。
なぜ、資格を取る必要があるのでしょう。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、本題です。
資格や学歴といった肩書は、その人の「デキ」を図る為の物差しです。
アメリカ留学1年の人と英検2級の人では、どちらが優れているのか分かりにくいものです。
ただし、留学生が英検3級だった場合、2級の人の方が「デキ」る事は、明らかであり分かりやすいものです。
こうした分かりやすさの物差しとして、資格や学歴があります。
次に、留学生と2級にアメリカ人が英語で道を尋ねたとします。
海外経験のある留学生は、スラスラと応える事が出来、英検2級は実は口下手でパニックになるかもしれません。
この時、資格や学歴といった物差しは崩壊してしまいます。
社会では、このような答えの無い実践的なケースが多いのですが、資格や学歴が怪しくなるのは、こうしたケースにさらされたときです。
2つのケースを統合して、どちらが優れているのかを議論するとややこしくなってしまいますが、一つだけ確かな事は、海外の人ともスムーズにコミュニケーションを取る事が出来、英検2級もっているなら、一番いいという事です。
学習には、思考の学習と記憶の学習があると僕は思います。
思考の学習は、体験的な学習法によって身につきやすく、記憶の学習はテストなどの学習法によって身につきやすいものです。
思考と記憶は両輪であり、どちらか一方が秀でたとしても、同じバランスでなければ前に進むことは困難です。
資格と学歴のような物差しは、自分が使うのではなく社会が一人一人を測るときに活用しますので、必然的に必要となります。
体験的に学んだスキルは、社会が一人一人を測る為に必要なのではなく、自分が適切なシーンで行使する為に必要となります。
そして最も大事なことは、資格や大学に至るまでのプロセスだと思います。
思考と記憶を支えるものが情熱であり、情熱はプロセスによって語る事が出来るからです。
なぜ、そうしようと思ったのか。
なぜ、達成することが出来たのか。
きっかけと、道のりと、ゴールは情熱無くして語れません。
僕が大学進学に意味を持てずにいたのは、情熱がなかったからです。
そのまま大学を卒業することが出来たとしても、思考は養われず、情熱もありませんからついには記憶も養われず、何もない人物になっていたでしょう。
先に述べた、「遠回り」というキーワードは、情熱をもてる事柄に出会う事が遠回りだったという事です。
高校の同級生の多くは、情熱をもっていたから目標を持っていました。
そして彼らの多くは、情熱をもてるだけの情報を、環境から得ていました。
両親・親戚・両親の知人・先輩・地域の人・先生・本・映画・旅行などなど、多くのチャンスから情報を得て、自分なりに情熱を養っていたのだと思います。
この点において、僕は小中に怠けていたのかもしれません。
もっと興味津々になって、いろいろな事に首を突っ込んで、いろいろな大人や本や旅に触れた方が良かったのかもしれません。
この文を読んでくださっている方は、きっと「親」でしょうから、子どもにチャンスを与えてあげてください。
「大学に進学したほうがいいの?」と子に聞かれたら、その答えが分かるまで情熱を養ってあげるのがいいでしょう。
子どもとの会話、子どもと過ごす時間を何よりも大事にしてください。