世界最先端IT国家創造宣言とは、我が国の国民一人ひとりがITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家となるために必要となる政府の取組等を取りまとめたものだそうです。
国としてITの水準を世界最高にするよ!という宣言なのです。

その目的は、首相官邸の資料によると以下のように記載されています。

国・地方公共団体・事業者の円滑なシステム連携を実現する仕組みづくりを目指して、行政の縦割りを排した抜本的な IT 化・業務改革( BPR: BusinessProcess Reengineering)を進め、効率的な行政運営と利用者志向の利便性の高い公共サービスを実現する。

「行政の縦割りは排した」という点が画期的に感じます。

ITが特定の分野に収まるものではなく、全ての分野で必要という解釈ができます。

 

これまでの主な取り組みは

  • マイナンバー制度のシステム
  • 安全・安心なデータ流通の促進
  • 農業の IT 化による国際競争力強化
  • 世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現

などが挙げられています。

これらは、平成25年からの3年間で一定の成果をあげながら取り組まれたようで、今後については、「IT 利活用による目指すべき社会の実現に向けた今後の重点的な取組方針」に成果の展開がまとめられています。

「国から地方へ」、「地方から全国へ」の横展開を基 本的な方針としつつ、「一億総活躍」、「地方創生」、「女性の活躍促進」、 「国土強靱化」などの諸課題の解決に IT を利活用する取組を強化する。

この記載から、政府が掲げている重点施策の中にもITが不可欠である事が読み取れます。

 

IT 利活用の取組については、3つの重点項目が定めれれています。

  • 【重点項目1】 国・地方の IT 化・業務改革(BPR)の推進
  • 【重点項目2】 安全・安心なデータ流通と利活用のための環境の整備
  • 【重点項目3】 超少子高齢社会における諸課題の解決

 

重点項目1の「国・地方の IT 化・業務改革(BPR)の推進」については、政府の情報運用をIT技術をもってコストダウンし、その分をさらなるIT化や業務効率化に投資するそうです。

具体的には、平成24年に1,450あった情報システムの数を、平成30年に半数に削減し、平成33年までに現在の運用コスト4,000億から30%削減する事を目指しています。

こうした情報の業務改革には、マイナンバーの利活用が求められています。

また、登記や法人設立等についてもオンラインで円滑に進めるようにするとの事。

行政内でも、効率的な事務遂行を図るため、会議のペーパーレス化、 WEB 会議の活用、法制執務の電子化、府省庁間協議ルールの見直しを行うという記載があり、「庁舎中心」や「紙中心」を見直していくようです。

こうした取り組みは、地方自治体へも展開し、教育の現場でも、校務の IT化と業務改善を推進するためクラウド化などを取り入れていくそうです。

当然、セキュリティについても人材育成・確保を強化して進めていきます。

 

重点項目2の「安全・安心なデータ流通と利活用のための環境の整備」では、以下のような目的があげられています。

官民システム間の連携協調による分野横断的なデータ流通基盤を整備 することで、多種多様なデータを社会全体で共有、利活用することが可能となり、 IoT、AI 等を活用することを通じて、新たな投資や雇用の創出、国民生活の利便性 の向上等を目指す。 特に、データ流通基盤の整備に当たっては、利用者を意識した視点が必要不可 欠であるとともに、大企業だけでなく、中小企業、ベンチャー企業が参入しやす く、多種多様なサービスが生まれる基盤となるよう十分に留意する必要がある。

ここでも縦割りを排する事が記載され、民間企業にもメリットがあるような取組を目指している事が分かります。

IoTやAIについての取組や研究にも力を入れるそうで、特にAIは、

様々な分野におけるデータ利活用の促進に技術的な側面から貢献するため、 関係府省庁が連携し、AI 等に係る革新的な基盤技術の研究開発を強力に推進

などと、強調された記載が見られました。

これらに携わる人材育成についても重要視されています。

我が国が第4次産業革命を勝ち抜くために、初等中等教育において様々な 課題解決に必要な論理的思考力や創造性、情報活用能力などの汎用的な力を 育成しつつ、高等教育から研究者レベルにおいて、特に喫緊の課題である IoT、 ビッグデータ、AI、セキュリティ及びその基盤となるデータサイエンティス ト等の人材育成・確保に資する施策を「第4次産業革命に向けた人材育成総 合イニシアチブ」として、包括的に実施。

第4次産業革命に向けた人材育成総 合イニシアチブについては、いずれまとめたいと思いますが、初等教育においても行政と民間が連携して、人材育成に取り組む事が注目点です。

こうして育成された人材は行政取組にも必要ですが、民間でも活躍してもらい、ITサービス開発の促進や、IT利用促進により人材不足の軽減を狙っています。

また、データの活用にあたって、オープンデータという取り組みも推進しています。

データ流通基盤の整備や、データ流通の円滑化と利活用の促進の取組と併せて、 国・地方公共団体・民間事業者等が保有するデータを社会全体で共有し、活用す るための課題解決型オープンデータの推進の具体的な実現を図る。

例えば、防災地域情報などがそれにあたります。

 

重点項目3の「超少子高齢社会における諸課題の解決」では、さらに3つの項目に分けて取り組みが行われています。

  1. ビッグデータを活用した社会保障制度の変革
  2. マイナンバー制度等を活用した子育て行政サービスの変革
  3. IT 利活用による諸課題の解決に資する取組

超少子高齢社会のビッグデータ活用では、介護職員の業務プロセスの標準化と質の向上をその分析結果から取り組むそうで、介護ロボットの活用も示唆されています。

医療分野でのビッグデータ活用についても、質の向上を目指すそうです。

子育て関連では、マイナンバーを使って子育て関連サービスのワンストップ化を図り、オンラインでの進められるようにしていくようです。これは実現すると便利ですね。

3のIT利活用による諸課題の解決は、幅が広く、農業や観光、道路交通関係、新ビジネス創出といった面でビッグデータやIT技術を取り入れていくそう。

また、地方創生や国民生活の利便性の向上や災害対応についてもIT活用の記載があり、余すところなくITを活用していこうという行政の姿勢が伺えます。

これらが本当に実現すると、日本は大きく変わると期待できます。

まだまだ、生活レベルと実感できる取組は多くありませんが、今後政府の動きは注視していきたいと思います。

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